ガス自由化後の同時同量制度
ガスの小売事業者は販売量に応じたLNG(液化天然ガス)を供給して、導管事業者に託送を依頼します。実際の需要と供給量は一致しないが、小売事業者は現在の制度では1時間あたり10%以内の変動に収める必要があります。このため拠点ごとに通信設備を導入して供給量を調整しています。
都市ガスの託送供給と同時同量制度。出典:経済産業省/資源エネルギー庁
一方で既存の大手ガス事業者は運営する導管ネットワークの貯蔵機能を生かして需給バランスを調整することができます。おおむね1日単位で需要と供給量を一致させています。拠点ごとに通信設備を導入する必要もなく、新規参入の小売事業者と比べると運営コストの面で大幅に有利となります。
電力と違ってガスは貯蔵しやすいことから、需要と供給量を一致させる同時同量を実現することは容易となります。政府は都市ガスの小売全面自由化に合わせて新しい託送供給の方式を下記の2パターンで検討中。
①「プロファイリング託送方式」
小売事業者は時間帯ごとの需要の想定値(プロファイル)に基づいて供給量を確保する。電力の小売全面自由化で導入する「計画値同時同量」に方式。
都市ガスの託送供給方式。出典:経済産業省/資源エネルギー庁
②「ロードカーブ託送方式」
地域全体の需要に対して全事業者が分担してガスを供給する方式。
既存と新規の事業者が平等にガスの導管を利用できる利点がありますが。現在のところ需給バランスを調整するコストの分担方法が決まっていないため、料金に対する影響度が不透明です。
いずれにしても、小売全面自由化が始まる1年前の2016年3月までには、2つの方式のどちらかをベースに新しい託送供給のルールを決める必要があります。